高校生にお金の授業を!

2021年2月の実践ビジネス英語のトピック「Financial Literacy お金に関するリテラシー」で非常に興味深い内容が取り上げられていました。

アメリカでは、高校でお金のこと(個人資産管理)を学ぶのを生徒の必修にしている州が増えているということです。個人資産管理の授業で教えるテーマは一般的に「金銭計画を立てること」「お金をためること」「お金を借りること」「金利」そして「大学の学費を払うこと」だそうです。

これは是非、日本の高校でも導入していただきたいと思いました。

 私が高校生のときに特に教えて欲しかったと思う項目は
「大学進学にあたって奨学金を借りた場合の返済プラン」です。

高校生のとき、学校内であった奨学金の説明会に参加しましたが、説明があったのは無利子の奨学金を借りるには一定のレベルの学業成績をマークしている必要があるということだけで、返済プランについては何一つ触れられていませんでした。

当時私は東京の大学に進学したいと思っていました。住まいは首都圏近郊ではなかったので、もし東京の大学に進学する場合は学費の他に下宿のための費用も必要になります。

この件は金銭面で難しいとのことで両親から反対をされ、諦めました。最終的には地元の国公立大に進学しました。東京の大学には行けませんでしたが、奨学金を借りずに大学に進学させてもらいましたので、両親には本当に感謝しています。

でも、もし例えば両親の反対を押し切って、奨学金を借りて東京の大学に進学していたとしたら?今考えると、非常に恐いなと思います。私の場合、無利子の奨学金を借りられる成績をとってはいませんでしたから、有利子の奨学金を4年間借りることになります。仮に月5万円ずつ借りたとして、4年間で240万円+利子です。毎月13,874円(年利0.05%)~16,769円(年利3%)を15年間払い続けることになります。

私は大卒後、最初に勤めた公法人を4年目にパワハラで退職しています。その後、海外へ半年間の語学留学をしています(留学期間は働いていないので収入無し)。こういった人生を変える決断が、もし奨学金という借金を背負っていた場合にできたかどうか。奨学金を借りることのリスクについても、きちんと学校で教えるべきだと思います。

自主的にインターネットで調べたり、家庭で教えてもらう場合もあるかもしれませんが、学生全員がお金のリテラシーを上げるために学校でも教えた方が良いと思います。

個人的には、高校の家庭科の授業において、個人資産管理について教えるのが良いのではないかと思います。文部科学省のウェブサイトに掲載されている高等学校家庭科の指導資料には以下の記載があります。

新しい学習指導要領「家庭」については,実践的・体験的な学習活動を通して,家族と家庭の役割,生活に必要な衣,食,住,保育,消費等に関わる知識や技術を習得するとともに,それらを活用して課題を解決するために工夫し創造できる能力と実践的な態度の育成を重視して改訂を行いました。

上記にある「消費等に関わる知識」に個人資産管理を含めて教えることは可能だと思います。実際に、この指導資料の中の、第2章第3節は「生涯の経済計画とリスク管理」という節でしたし、この中には学生はいくらで生活しているか、30歳未満の単身者の支出、子供の学習費や勤労者世帯の住宅ローン返済負担などのデータも載っていました。

私が高校生だったのは10年以上前なので、現在の指導要領とは大きく異なる可能性もありますが、当時上記の消費に関わる知識を教わった記憶はありません。裁縫や調理実習などをした記憶がありますが…もし現在もそのような実習をしているのであれば、それらを差し置いてでも、お金についての知識を教える方が重要ではないでしょうか。

奨学金についてはもちろん、住宅ローンや車購入時のローンなど「お金を借りる」ということは一体どういうことなのか、利子とは何なのか、それらを学生のうちに学ぶことができれば、その後の人生で最適な選択が出来る可能性が高くなります。学生のその後の人生を大きく左右する点で、進路指導と同じくらい大切だと思います。