パワハラが深刻化する要因とは

先日、トヨタ、パワハラ自殺で和解 再発防止へ人事制度見直し―社長が遺族に謝罪というニュースがありました。

こういうニュースを見る度に本当に悲しくなります。過去の記事にも書きましたが、私もパワハラの被害者でした。

パワハラの問題が深刻化する要因はいくつもありますが、今回の記事では以下の2点について考えてみます。

  • 職場が世界になってしまっていること
  • 人事や上長のパワハラについての知識不足

職場が世界になってしまっていることについて

一昔前と比べれば転職は一般的になりましたが、まだ一度も転職をしたことが無い人もたくさんいるでしょう。特に大手企業勤めの人や公務員の人は、定年まで同じ会社・組織で働く人が大多数だと思います。

その会社しか知らないと、その会社が自分の世界になってしまう人は多いのではないでしょうか。

というのも、私がかつてそうだったからです。私が新卒時に働いていたのは70人くらいの小さな公法人でした。準公務員であり、残業も無く、転居を伴う異動もない組織であったため、the・安定という職業だったと言えるでしょう。その職場で4年目に配属された部署にて、私は先輩からパワハラを受けました。

当時はその先輩に、毎日散々怒られていました。先輩とは隣の席でしたが、私は常に先輩に監視されていて、メールチェックすら自由にさせてもらえない環境でした。(総務課から全員に来ていた大事なメールを読んでおらず、総務課長に怒られたことがあります…)

当時、私は本当に仕事が出来ないんだと信じていました。

が、今思うと本当にバカだったと思います。

世の中には無数の仕事があるからです。現在の仕事が苦手だったとしても、他の会社の仕事だったら出来るかもしれない。インターネットのおかげで、今は数多の仕事が、働き方が存在します。就職して初めて就いた仕事だけで、仕事が出来ないと判断するのは、早計です。

私はそのパワハラ公法人を退職してから、3度転職しています。現在、公法人で働いていた自分を振り返ると本当に視野が狭かったと思います。私は日系企業にしか勤めたことがありませんが、外資系企業や海外で働いたことがある方はまた更に視野が広いでしょう。
何にせよ、私はあんな70人足らずの組織が私の世界だと思い込んでいたのですから、笑止千万です。

自分の経験を通して言えることは、就職して最初に就いた仕事で自分を評価しないようにということです。もっと言えば、何度か転職を重ねてようやく、自分の適性が分かるのではないかと思っています。

人事や上長のパワハラについての知識不足

冒頭で紹介したトヨタ自動車の件では、休職していたその方が復帰される際に、問題のパワハラ上司の近くの席でまた働かなくてはならなかったとのことでした。
小さい会社ならまだしも、トヨタという超大企業なのですから、全く別の配属先に移すという選択肢は無かったのでしょうか。

私はパワハラを受けていた当時から5年以上たちますが、未だにその先輩とは会いたくないです。毎日顔を合わせるなんて、考えただけでめまいがします。
5年以上の歳月がたってもこのような状況なのですから、渦中の人にとってはなおさらでしょう。

パワハラを受けていた当時、所属部署の課長と面談があったのですが、その課長に相談したところ「先輩が恐いっていう感覚がわからない」と言われました…それが課長の正直な感想だったのでしょうが、これでは相談した側は浮かばれません。この課長はパワハラによる被害を軽視していたのだと思っています。
私は人事部の人や部下を持つ人はすべからく、パワハラなどハラスメントの問題について学ぶべきだと思っています。会社が施してくれる研修だけではなく、書籍を通してなど、自発的にも学ぶべきです。

最後に

この社会からパワハラがなくなることを切に願います。
パワハラの被害を受けている方はその職場だけが世界ではないことを意識してください。
パワハラの被害を受けている人の上長や人事の方は事を軽んじないでください。

最後になりましたが、トヨタ自動車でのパワハラ被害で亡くなられた方のご冥福をお祈りします。